
中古の電動高所作業車は、7つのポイントを順番に確認すれば、建機の専門家でなくても状態を見極められます。特に「まっすぐ走るか」「上げた作業台がキープできるか」の2点は、買ってはいけない機体を見抜く決め手です。ただし、特に走行や昇降は実機を動かさないと分からず、写真と説明だけで自分で全部確認するのは簡単ではありません。この記事では、現場で実際に点検・販売してきた経験から、確認すべき7つのポイントを具体的に解説します。
この記事で分かること
- 中古の電動高所作業車で必ず確認すべき7つのポイント
- 「買ってはいけない機体」を見抜く地雷ポイント
- タイヤとクローラーの選び方と、摩耗の見方
- 「あと何年使えるか」を正しく判断する考え方
- 自分で確認するのが難しい理由と、失敗しない買い方
この記事の対象者
倉庫の設備・天井クレーン・ダクトの点検、壁の塗装、高所の清掃、庭木の伐採など、高所作業のために電動高所作業車の導入を検討している事業者・現場責任者を対象にしています。建機の専門家ではないが、中古で失敗せずに選びたい方に向けた内容です。
すでに使用中の機械のバッテリー交換を検討している方は、別記事の方が役立つ場合があります。
中古を買う前に知っておきたい大前提
7つのポイントの前に、中古市場の前提を2つ知っておいてください。これを知らないと、選び方そのものを間違えます。
中古市場に「使用後の保証」は基本ない
中古の建設機械には、年間保証を付けている業者はほとんどありません。これは特定の業者に限った話ではなく、中古市場全体の慣習です。
初期不良や明らかな不具合があった場合、返品・交換に応じる業者は多くあります。しかし、使用してしばらく経ってからの故障に保証が効くことは、中古市場ではまずありません。新品購入であれば保証は付きます。
だからこそ、買う前の見極めがすべてです。保証で守られない分、最初の選び方で失敗を防ぐ必要があります。
稼働時間だけで「あと何年使えるか」は判断できない

「この稼働時間なら、あと何年使えますか」という質問をよく受けます。しかし、稼働時間から残りの寿命を逆算することはできません。
稼働時間が長くても、メンテナンスが行き届いた機械は長く使えます。逆に、稼働時間が短くても整備不良の機械はすぐ不具合が出ます。アワーメーター(総稼働時間を示す計器)の数字は参考程度に考えてください。
「あと何年使えるか」を正しく言い換えると、「次に修理・交換が必要になるのはいつか」です。そして、その時期を左右する最大の要素がバッテリーの性能低下です。詳しくはポイント①で解説します。
確認すべき7つのポイント
ここからが本題です。中古の電動高所作業車を買う前に、次の7つを順番に確認してください。
①バッテリーの性能低下と充電装置
電動高所作業車は、バッテリーがすべての動力源です。走行も昇降も、バッテリーの電力で動きます。そのため、バッテリーの状態が機械の価値を大きく左右します。

「あと何年」ではなく「次に交換が必要な時期」で考える
バッテリーが寿命を迎えても、機械全体が使えなくなるわけではありません。バッテリーを交換すれば、また使い続けられます。
電動高所作業車には「ディープサイクルバッテリー」という、繰り返し充放電に耐える専用バッテリーが使われています。よく使われる型番はEB100で、1本あたり2万〜2万7千円が相場です(本体価格のみ)。機種によって2本〜4本を使用するため、全交換すると4万〜10万円程度かかります。
つまり、中古機を選ぶときは「バッテリーがあとどれくらい持つか」を見ることで、「次にまとまった出費が発生する時期」を予測できます。これが寿命を考えるうえで最も現実的な基準です。

充電装置が正常に動くかも確認する
見落としやすいのが、バッテリーを充電するための充電装置です。バッテリー本体が元気でも、充電装置が故障していれば充電できず、機械は動きません。
購入前に、充電器をコンセントに接続し、充電ランプが正常に点灯するか、実際に充電できるかを確認してください。
②タイヤ/クローラーの摩耗
足回りは、バッテリーと並んで劣化が出やすい部分です。確認の前に、まず自分の現場にどちらのタイプが合うかを考えてください。
現場に合うのはタイヤかクローラーか
「タイヤとクローラー、どちらがいいですか」という質問もよく受けます。答えは現場の地面で決まります。
| タイヤタイプ | クローラータイプ | |
|---|---|---|
| 向いている現場 | コンクリート・舗装の平地 | 砂利道・未整備の地面 |
| 摩耗の確認箇所 | 溝(山)の残り | 山+側面の亀裂 |
倉庫内の設備点検が中心なら、タイヤタイプで十分活躍できる場合が多いです。屋外の未整備な現場が多いなら、クローラータイプを選んでください。
タイヤは山、クローラーは山と側面の亀裂を見る

どちらのタイプも、摩耗具合は必ず確認してください。
タイヤタイプは、溝(山)がどれだけ残っているかを見ます。山が極端に少ないと、雨で濡れた傾斜路面でタイヤが滑り、進みにくくなります。
クローラータイプは、山に加えて側面の亀裂を確認してください。側面に大きな亀裂があると、そこからキャタピラのベルトが切れることがあります。クローラーは特にこの点が重要です。
③【要注意】まっすぐ走行するか
ここからは、買ってはいけない機体を見抜く地雷ポイントです。
走行させたとき、まっすぐ進むかを必ず確認してください。前に進ませているのに機体が勝手に左へ、または右へ逸れていく機体は要注意です。
これは、タイヤが少しずつ左右どちらかに傾いている状態です。原因として、内部で作動油がリリース(漏れ出し)している可能性があり、放置すると後に内部修理が必要になります。見た目はきれいでも、走らせると分かります。
ただし、クローラータイプの場合は、左右のクローラーの張り方に差があったり、走行中に振動が出たりするため、多少左右にずれることがあります。クローラータイプでは、この程度のずれは異常とは限りません。
試運転では、必ず走行させて挙動を確認してください。
④【要注意】作業台を上げてキープできるか

2つ目の地雷ポイントです。これは安全に直結するため、最も慎重に確認してください。
作業台(テーブル)を上昇させ、その高さでしっかり止まったまま保持できるかを確認します。上げた作業台が少しずつ下がってくる機体は、買ってはいけません。
原因は、内部で作動油が漏れていることが多く、放置すると内部修理が必要になります。作業台が勝手に下がると、高所作業中に大きな危険があります。上昇させてしばらく止め、高さが変わらないかを必ず確認してください。
⑤昇降の安定性と作業台テーブルのスライド
地雷ほどではありませんが、昇降の安定性も確認が必要です。
作業台を上昇させたときに、大きく揺れながら上がる、または揺れながら下がる機体があります。原因はレールのグリス不足の場合もあれば、車体が歪んでガタつきが出ている場合もあります。
作業台のレールにグリスを差せば直ることがほとんどです。しかし、グリスを差しても直らない場合は、レールが歪んでいる可能性があり、修理が難しくなります。この状態の何が問題かというと、高い位置から下りるときにガタつくと、乗っている作業者が強い恐怖を感じる点です。
あわせて、作業台テーブルが横にスライドするタイプは、スライドがスムーズに動くかも確認してください。昇降・スライドの動作で、異音や途中停止がないかも見ておきます。
⑥油圧シリンダー・配管のオイル漏れ

③④で触れた不具合の多くは、油圧系統のオイル漏れが原因です。そのため、油漏れの跡を直接確認することも有効です。
作業台を昇降させるシリンダー(伸び縮みする筒状の部品)や、その周りの配管・ホースを見てください。油でにじんでいる、垂れた跡がある、地面に油が落ちているといった状態は、オイル漏れのサインです。
オイル漏れがある機体は、放置すると昇降のキープ不良や走行の不具合につながります。
⑦自分の現場に機体が合うか
最後に、機械の状態だけでなく、自分の現場で使えるサイズ・能力かを確認してください。状態が良くても、現場で使えなければ意味がありません。
確認する項目は次の通りです。
- 揚程(最大の作業高さ):作業したい高さに届くか。倉庫の天井クレーンやダクトなら、その高さに合う揚程が必要です。
- 機体サイズ:倉庫の通路幅や出入口を通れるか。設置場所に収まるか。
- タイヤ/クローラー:ポイント②で確認した、現場の地面に合うタイプか。
- 車体の重量:現場へ運搬する際、ユニッククレーンやフォークリフトで下ろせる重さかを確認してください。機体が重すぎると、運搬手段が限られます。
特に倉庫内で使う場合は、天井までの高さと通路の幅を事前に測っておくと、選定が確実になります。
よくある質問
Q:中古に保証は付きますか?
中古市場では、使用後の保証を付ける業者は基本的にありません。初期不良への返品・交換は対応する業者が多いですが、使用後の故障は保証対象外が一般的です。だからこそ、買う前の見極めが重要になります。
Q:この稼働時間だと、あと何年使えますか?
稼働時間から残りの年数を逆算することはできません。メンテナンス状況によって大きく変わります。「次に交換・修理が必要になる時期」は、バッテリーの性能低下具合を基準に考えるのが現実的です。
Q:タイヤとクローラー、どちらを選ぶべきですか?
現場の地面で決めます。コンクリートの平らな現場ならタイヤ、砂利道や未整備の地面ならクローラーが向いています。
Q:見た目がきれいなら状態は良いと考えていいですか?
外観と内部の状態は別です。まっすぐ走るか、作業台がキープできるかは、実機を動かさないと分かりません。見た目だけで判断しないでください。
まとめ|7つのポイント早見表
| # | 確認ポイント | 判断基準 |
|---|---|---|
| ① | バッテリー・充電装置 | 次の交換時期の目安に。充電器が正常に動くか |
| ② | タイヤ/クローラー | 現場に合うタイプか。山の残り、側面の亀裂 |
| ③ | まっすぐ走行するか | 左右に逸れる機体は内部の作動油漏れの疑い【要注意】 |
| ④ | 作業台のキープ | 少しずつ落ちる機体は作動油漏れの疑い【要注意】 |
| ⑤ | 昇降の安定・スライド | 揺れ・ガタつき・異音・途中停止がないか |
| ⑥ | オイル漏れ | シリンダー・配管に油のにじみや垂れがないか |
| ⑦ | 現場との適合 | 揚程・機体サイズ・重量・足回りが現場に合うか |
中古の電動高所作業車は、この7つを押さえれば失敗を大きく減らせます。とはいえ、すべてを自分で確認するのは難しいのも事実です。点検済みの在庫から選べば、地雷機体をつかむリスクを抑えられます。
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