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中古発電機を買う前に確認する7つのポイント|アワーメーター・絶縁抵抗・エンジン状態

中古の可搬型ディーゼル発電機は、「動くかどうか」だけでは判断できません。確認するのは、①アワーメーターと年式 ②エンジンの状態 ③発電性能 ④絶縁抵抗と漏電保護 ⑤外観・防音ボディ ⑥その現場で使えるか ⑦書類と取引条件、の7つです。外観のきれいさは判断材料になりません。中古機は販売前に外装もエンジンルームも洗浄・磨き上げるのが通常の工程だからです。判断は試運転と実測で行います。この記事では、非専門家の方が現車と書類で確認できる範囲と、業者に任せる範囲を、メーカー資料と法令の出典つきで整理します。

中古発電機を買う前に確認する7つのポイントのチェックリスト。アワーメーターと年式、エンジンの状態、発電性能、絶縁抵抗と漏電保護、外観・防音ボディ、その現場で使えるか、書類と取引条件。判断は試運転と実測で行う。
目次

この記事の対象者と、対象外の方

対象は、可搬型ディーゼル発電機を中古で初めて買う方です。デンヨーDCA、AIRMAN(エアマン、旧 北越工業)SDG、日本車輌NESのような、現場に運んで使うタイプを想定しています。

建物に据え付けるキュービクルや非常用自家発電設備(据置型)は対象外です。「発電機の寿命は何時間か」は、別記事「発電機の寿命は何時間?アワーメーターだけでは決まらない、買い替えを判断する4つの分岐点」で扱っています。

前提:中古で「壊れていると困る」のは3か所

発電機は、エンジンで発電機本体を回して電気をつくる機械です。中古で問題になりやすいのは次の3か所で、いずれも外観では分かりません。

  1. エンジン(心臓部)。摩耗や燃焼の不調は修理費が大きくなりやすい箇所です
  2. 発電機本体の巻線の絶縁。測定しないと判断できません
  3. 保護装置(漏電遮断装置や各種警報)。安全と法令順守に直結します

ポイント① アワーメーターと年式|数字と現車の整合を見る

デンヨーDCAシリーズの操作パネルには、トリップ機能付きの時間計が標準装備されています(デンヨー DCAシリーズ カタログ 2025.10版)。

発電機の時間計(アワーメーター)のイメージ図。3つの警告ランプの下の液晶にODOの時間が表示されている。ODOは積算時間、TRIPは0に戻せる区間時間で、比べるのはODOの値。
時間計のイメージ図です。表示の数字は例です。ODO(積算)とTRIP(区間)の切り替えは、デンヨーDCA-25LSKE取扱説明書p.12によります。

型式の記号で排ガス区分と騒音区分の目安が分かります(現行カタログでは、LS=第3次排出ガス対策型建設機械指定機で超低騒音型または低騒音型、など)。詳しい読み方と旧型の注意は、別記事「DCA-25LSKBの「LS・K・B」とは?デンヨー発電機の型式の見方と超低騒音型の選び方」で解説しています。

表示だけを信じず、整備の予定を読む

時間計はパネル上の計器の一つで(同カタログ)、故障すれば交換される可能性があります。表示だけを信じず、年式・整備記録・現車の使用感と矛盾がないかを見てください。

アワーメーターの実用的な使い道は、購入後の整備費を読むことです。デンヨーDCA-25LSKE取扱説明書の定期点検整備一覧表では次のとおりです。

  • エンジンオイル … 初回50時間、以後200時間ごとに交換(時間に達しなくても6か月に1度)
  • エンジンオイルフィルタ … 初回50時間、以後200時間ごとに交換
  • 燃料フィルタエレメント … 100時間ごとに洗浄、400時間ごとに交換
  • エアクリーナエレメント … 200時間ごとに点検清掃、500時間ごとに交換
  • 燃料タンク内のドレン排出 … 50時間ごと。油水分離器の洗浄は400時間ごと、燃料タンク内部の清掃は1,000時間ごと
  • 冷却水、ナイロンホース・ゴムホース … 2,000時間ごとに交換(時間に達しなくても2年ごと)

これはDCA-25LSKEの値で、間隔は機種により異なります。現在のアワーと前回の整備時期が分かれば、購入後いつ何の整備が来るかの見当がつきます。

ポイント② エンジンの状態|排気の色・音・漏れを見る

私たちが仕入れで現車を見るときも、エンジンは心臓部としてかなり慎重に確認しています。見ているのは、排気の色、エンジン音のリズム、内部からの金属音の3点です。

試運転は販売店の担当者に

始動と運転は販売店の担当者に依頼してください。DCA-25LSKE取扱説明書は、運転中の内部には高速回転部と高電圧部があり、停止後もボンネット内に熱い部分があると警告しています。運転中は内部に手を入れず、扉を開けて覗き込まないでください。

排気の色(あくまで目安)

色だけで原因は特定できません。以下は目安であり、原因の特定は整備業者に委ねてください。

  • 黒煙 … エンジン整備の株式会社中田エンジンの解説(産業用エンジン メンテナンス.com)は、エアーフィルターの目詰まり、噴射ノズルの噴霧状態の異常、噴射ポンプの噴射量過多、各燃焼室の圧縮圧力の不揃いを要因に挙げています
  • 白煙 … クボタの農業機械FAQ(ディーゼルエンジン)は「白煙の発生はエンジンに重大なトラブルが起こっている可能性があります」とし、原因例に燃料間違い(灯油の混入)、燃料フィルタの汚れや水の混入、燃料噴射ノズルの詰まり、ピストンリングの摩耗、燃焼室へのオイル混入(オイル上がり)を挙げています。中田エンジンの解説も、オイル下がり・オイル上がりなどを要因に挙げています

私たちが見ているのは、黒煙が出ていないか、そして白煙を出し続けていないかです。始動直後の一瞬ではなく、暖機後も続くかどうかで見てください。

黒煙と白煙の要因の例。黒煙は、エアーフィルターの目詰まり、噴射ノズルの噴霧状態の異常、噴射ポンプの噴射量過多、各燃焼室の圧縮圧力の不揃い(中田エンジンの解説)。白煙は、燃料間違い、燃料フィルタの汚れや水の混入、燃料噴射ノズルの詰まり、ピストンリングの摩耗、オイル上がり(クボタのFAQ)。
煙の色は目安です。色だけで原因は特定できません(発電機はイメージ図)。

音・振動と、暖機後の漏れ

エンジン音のリズムが一定か、内部から擦れるような金属音が聞こえないかを聞きます。DCA-25LSKE取扱説明書は「異音がする」の推定原因に、発電機部のベアリングの破損や締付ボルトのゆるみも挙げています。原因は一つではないため、「音がする」事実を伝えて所見を求めるのが現実的です。

始動直後には分からない漏れもあります。暖機まで運転してもらい、停止後にエンジン下、ホース類の接続部、ベース内を見てください。

警報・診断表示も手がかりになる

デンヨーDCA-25以上には、油圧低下・水温上昇・過速度でエンジンを止める保護装置や、燃料ストレーナ水位上昇、エコベースの液量増加(資料上の表記は「環境ベース液量増加」。以下エコベースと表記)などの警報があります(デンヨー「エンジン発電機の豆知識」、総合カタログ。装備は機種により異なります)。取扱説明書でも燃料タンクのドレン排出が50時間ごとの点検項目になっており、中古ではタンク内の水やスラッジ(沈殿汚れ)も確認対象です。故障診断表示器を備える機種(DCA-150・300・400の第3次排出ガス対策型機、一部機種を除く)では、警告履歴やリセット状態も聞いておくとよいでしょう。

ポイント③ 発電性能|パネル表示ではなく端子で実測されているか

操作パネルの電圧計・周波数計の表示と、端子での実測値は別物です。メーター自体が狂っていることがあるためです。メーカー資料でも、DCA-25LSKE取扱説明書の「故障の原因と対策」で、「定格電圧にならない」の推定原因の最初に「電圧計の不良」が挙がっています(ほかにAVRの不良、回転数が低いなど)。日常点検にも「各計器の作動状態・モニターの点検」が含まれています。

私たちが仕入れ時に行っているのは、計測器を実際に端子に当てて、規定の電圧と規定の周波数(Hz)が出ているかを実測する作業です。買う側は「端子で実測していますか、値はいくつですか」と聞くのが確実です。

出力端子のUとVにテスターの測定棒を当て、電圧200.8V・周波数50.0Hzを実測しているイメージ図。販売店には「端子で実測していますか」「値はいくつですか」と聞く。
イメージ図です。表示の数値は例です。測定は販売店や有資格者に依頼してください。

あわせて端子盤まわりを次の4点で見ます。これも現車で確認している項目です。

  1. 三相と単相の両方の端子があるか
  2. 切替スイッチが付いているか、そして実際に切替動作ができるか(付いているだけでは不十分で、動かして確かめます)
  3. 端子のネジ部が破損していないか(締め付けと取り外しを繰り返すため傷みやすい箇所です)
  4. 分電盤が内蔵されているかなどのオプション装備(同じ型式でも仕様が分かれます)
出力端子盤まわりで見る4つの点のイメージ図。三相と単相の両方の端子があるか、出力電圧切替スイッチ(三相4線400V級・三相4線200V級・単相3線100/200V級)が付いていて実際に切り替わるか、端子のネジ部が破損していないか、分電盤などのオプション装備。
イメージ図です。端子盤・切替スイッチ・分電盤の配置は機種によって異なります。

デンヨーDCAもAIRMAN SDGも、型式の数字は60Hz時の定格です(デンヨー公式、AIRMAN公式)。たとえばDCA-25LSKEの三相出力は50Hz時20kVA/60Hz時25kVAです(取扱説明書 主要諸元)。また三相と単相の同時出力は-D(サイマルジェネレータ)仕様のみで、標準機は切替です(デンヨー公式)。容量の考え方は別記事「発電機の容量(kVA)の選び方|必要容量の計算と「始動電流」の落とし穴」で解説しています。

ポイント④ 絶縁抵抗と漏電保護|見えない劣化と法令上の装置

絶縁抵抗とは、電気が本来流れてはいけない場所(外箱や大地)へどれだけ漏れにくいかを示す値です。値が大きいほど絶縁が保たれています。巻線の絶縁劣化は目視では分からず、測定するしかありません。

数値の見方|まず「何の数値か」を区別する

絶縁抵抗の数値としてよく目にするものは2種類あり、どちらも中古の可搬型発電機の合否基準そのものではありません。

1つ目は、発電機から先の低圧電路の法令上の値です。電気設備に関する技術基準を定める省令第58条が「電気使用場所における使用電圧が低圧の電路」について定めるもので、発電機本体の巻線の数値ではありません(e-Gov法令検索)。

  • 使用電圧300V以下で、対地電圧150V以下 … 0.1MΩ以上
  • 使用電圧300V以下で、その他の場合 … 0.2MΩ以上
  • 使用電圧300Vを超えるもの … 0.4MΩ以上

2つ目は、据置型の非常用自家発電設備向けの保全マニュアルの値です。国土交通省「参考資料(点検・整備の解説)」表2に、(社)日本内燃力発電設備協会「非常用自家発電設備保全マニュアル」NEGA G701-2000を出典として次の値が示されています。

  • 電機子巻線および主回路配線 … 高圧4MΩ以上、低圧2MΩ以上
  • 界磁巻線 … 2MΩ以上
  • 配電盤など … 高圧側と大地間4MΩ以上、低圧側と大地間および制御回路と大地間1MΩ以上

これは可搬型発電機にそのまま適用される数値ではなく、一つの目安です。実際の判定は、その機種の取扱説明書と整備業者の判断によります。同資料は、測定値は温度・湿度・塵埃の付着等で大きく変わるため、以前の測定記録などと比較して傾向で判定することが大切としています。いつ・どういう条件で測ったのかも確認してください。

整備担当者が絶縁抵抗計(メガー)で発電機を測るイメージ図と、測定日・測定箇所・測定値・温度湿度・測定者の欄がある空欄の記録票。AVRなどは配線を外して専門の業者が測り、以前の記録と比べて傾向で判定する。
イメージ図です。記録票は空欄の見本です。

測定は自分でやらず、依頼する

絶縁抵抗計(メガー)は測定のために電圧を印加します。制御基板やAVR(自動的に電圧を安定させる装置)など、過電圧で故障するおそれのある部品は、あらかじめ配線を外す必要があります(産業用エンジン メンテナンス.com「絶縁抵抗・接地抵抗の計測方法」)。たとえばDCA-25LSKEの励磁方式は「ブラシレス方式(自動電圧調整器付)」で、AVRを備えています(取扱説明書 主要諸元)。

知識のないまま測ると機械を壊すおそれがあります。測定は販売店ごとに毎台行うとは限らないため、気になる場合は購入前に販売店や整備業者へ依頼してください。

漏電保護は「付いていること」と「動くこと」

デンヨー「エンジン発電機の豆知識」は、重要な条件を示しています。漏電保護回路を動作させるためには、モータ、発電機外箱接地端子および機能接地端子を、電気工事士により接地しなければなりません(電気工事士法)。装置が付いているだけでは保護は完成せず、現場での接地工事が必要です。

法令との関係も整理します(条文はe-Gov法令検索)。前提として、労働安全衛生規則第333条の対象は発電機そのものではなく、電動機を有する機械または器具(電動機械器具)、つまり発電機につなぐ側の電動工具やモータです。

  • 安衛則第333条 … 対地電圧が150Vをこえる、または導電性の高い場所で使う移動式・可搬式の電動機械器具は、接続される電路に、感度が良好で確実に作動する感電防止用漏電しや断装置を接続しなければならない(困難なときは同条第2項の方法で接地して使用)
  • 安衛則第334条 … 第333条を適用しない場合を定めた適用除外の規定で、次の3つです。①非接地方式の電路(電源側に設けた絶縁変圧器の二次電圧が300V以下で、その負荷側の電路が接地されていないもの)に接続して使う電動機械器具、②絶縁台の上で使う電動機械器具、③電気用品安全法の特定電気用品で、同法第10条第1項の表示が付された二重絶縁構造の電動機械器具
  • 安衛則第352条 … 感電防止用漏電しや断装置は、その日の使用を開始する前に作動状態を点検し、異常を認めたときは直ちに補修または取り換えなければならない
  • 電技省令第15条 … 電路には地絡遮断器の施設その他の地絡に対する適切な措置を講じる(乾燥した場所に施設する等、地絡による危険のおそれがない場合を除く)

発電機に組み込まれた漏電遮断装置は、つなぐ側の電動機械器具の電路に感電防止用漏電しゃ断装置を接続するという現場の義務を満たす手段の一つ、と考えると分かりやすいでしょう。

中古で確認すべきことは2つです。漏電遮断装置が付いていること、そして実際に動くこと。動作確認は販売店に依頼してください。使用開始前の作動点検は、使う側の事業者の義務です。接地抵抗の目安(D種接地100Ω以下、0.5秒以内に自動遮断する装置がある場合は500Ω以下に緩和)は、別記事「発電機の容量(kVA)の選び方|必要容量の計算と「始動電流」の落とし穴」で解説しています。

ポイント⑤ 外観・防音ボディ・ラジエータ|きれいさは判断材料にならない

中古の発電機は、販売前に外装もエンジンルームも洗浄・磨き上げられているのが普通です。私たちの製品化工程も次のような内容です。

  • 高圧洗浄機と洗浄剤で、エンジンルーム内部・マフラー・床下・外装の油汚れを落とす
  • 内部(天井裏、エンジン、ファン、床下)を洗浄剤とスカッチブライトでこすり洗いする
  • レンタル会社・リース会社の管理番号や社名のステッカーを剥がす。前の管理者の社内管理情報で、次の持ち主には意味がないためです。メーカー純正シール、操作方法、注意喚起のシールは安全に関わるので残します
  • ステッカー跡を除去し、コンパウンドとポリッシャーで磨き、ワックスをかける

これは中古機を商品として仕上げるための通常の工程です。ただ、洗われた機体からは洗う前の状態が分からないため、「きれいだから状態がよい」「油汚れがないから漏れていない」とは言えません。判断は試運転と測定で行い、洗浄・整備を終えたあと、暖機まで運転して漏れが出ないかを確認してください。

外観で見る意味があるのは、きれいさではなく物理的な欠損や劣化です。

  • 防音材(スポンジ)の欠落や崩れ。高圧洗浄で崩れることもあるデリケートな部材で、欠落は騒音性能に直結します
  • ラジエータの網の凹みや、コアの目詰まり。DCA-25LSKE取扱説明書は「オーバーヒートする」の推定原因として、周囲条件(排風のまわり込み)、冷却水の不足、ファンベルトの緩み、ラジエータのコアの目詰まり、エンジンサーモスタットの異常を挙げています
  • 下回り、締付けボルト、端子盤の錆

メーカーも塩害対策として絶縁低下防止処理や錆に強いボルトを採用しており、海沿いで使われた機体は錆と絶縁低下に注意が必要です(デンヨー総合カタログ)。

エコベースの機体は漏れた燃料やオイルがベース(土台部分)に溜まる構造で、液量増加を満水(赤ランプ)と1/2(橙ランプ)の2段階で表示します(デンヨー豆知識)。ベース内の液量と油分も手がかりになります。

ポイント⑥ その現場で使えるか|排出ガス対策型・低騒音型の指定

国土交通省の排出ガス対策型建設機械指定制度では、指定対象に発動発電機(一般工事用)が含まれます。国交省「排出ガス対策型建設機械指定状況」のページに機種別の指定型式一覧がPDFで公開されており、型式で指定の有無を確認できます。

混同しやすいのが、オフロード法(特定特殊自動車排出ガスの規制等に関する法律)との関係です。同法第2条の「特定特殊自動車」は、道路運送車両法に規定する自動車のうち大型特殊自動車・小型特殊自動車等で、けん引して陸上を移動させることを目的として製作した用具などは除かれます(e-Gov法令検索)。自走しない可搬式の発電機は同法の「自動車」にあたらず、けん引して運ぶタイプも同条の除外に入るため、オフロード法の対象ではありません。排ガスの確認は、国交省の指定制度と発注者の仕様書で行います。なお、デンヨーの現行カタログは、DCAシリーズを第3次排出ガス対策型建設機械指定機(DCA-ESシリーズを除く。DCA-610〜1100は指定対象外機)とし、国土交通省の直轄工事でも使用できると案内しています(デンヨー DCAシリーズ カタログ 2025.10版)。これは現行機種の説明です。中古で出回る旧型には第2次基準値の指定機もあり、第2次の指定機は製造時期によって扱いが変わります。型式で国交省の指定型式一覧を確かめ、旧型は年式も確認してください(型式の見方は別記事「DCA-25LSKBの「LS・K・B」とは?デンヨー発電機の型式の見方と超低騒音型の選び方」で解説しています)。

騒音側は、国土交通省「低騒音型・低振動型建設機械の指定に関する規程」が基準です。発動発電機は別表第一の対象機械で、騒音基準値はエンジン定格出力P(kW)が55未満で98dB、55以上で102dBです。たとえばDCA-25LSKEはエンジン定格出力23.7kW(60Hz運転時)なので、98dBの区分になります(デンヨー取扱説明書 主要諸元)。同規程第十条により、低騒音型は側面の見やすい箇所に標識を表示でき、騒音の測定値が基準値から6を減じた値を下回る型式は超低騒音型の標識を表示できます。

古い機体はラベルの年表記も見てください。川崎市の案内によれば、ラベルの数字が「’89」の旧シールのものは指定取消の対象で低騒音型とはみなされず、「’97」の新シールは引き続き低騒音型として使用可能とされています。自治体の案内であるため、実際の取扱いは発注先の指示を確認してください。

発電機の側面に貼る標識の見本。第3次基準値の排出ガス対策型建設機械の指定ラベルと、'97基準値の超低騒音型の標識。'89の旧シールは低騒音型とはみなされない(川崎市の案内)。確認は型式、標識、国交省の指定型式一覧の3点。
標識の見本(イメージ図)です。実際の標識の様式は、国土交通省の指定要領・規程によります。「’89」の旧シールの扱いは川崎市の案内によります。

国の直轄工事での扱い(土木工事共通仕様書(案)・騒音振動対策技術指針)は、別記事「発電機は年何日置くと「買った方が得」?レンタルと中古購入の損益分岐を25kVAで試算」で触れています。自治体工事や民間工事はそれぞれの仕様書によります。買う前に、その機体を入れる現場の仕様書を先に見てください。確認は型式、標識、国交省の指定型式一覧の3点です。

ポイント⑦ 書類と取引条件|銘板・整備記録・保証・運搬・手続き

銘板・製造番号と整備記録

銘板(型式・製造番号のプレート)と機体の一致を確認します。中古建機では盗難機を避けるため、日本建設機械工業会(CEMA)の「建設機械製造番号検索」で盗難・行方不明建機を照会できますが、対象は油圧ショベルなどで、発動発電機は含まれていません。そこで販売店には、どこから入った機体か(レンタル会社の入れ替え機、ユーザーからの下取りなど)と、入庫後に何を整備・交換したかを聞いておくと、機体の履歴と次の整備時期が見えてきます。取扱説明書と整備記録が付くかもあわせて確認してください。

デンヨーDCA-25LSKBの銘板のイメージ図(製造番号はぼかしている)。型式と製造番号のセットで1台を確認し、販売店には機体の入手経路、入庫後の整備・交換、取扱説明書と整備記録が付くかを聞く。
銘板のイメージ図(デンヨーDCA-25LSKBの例)です。製造番号はぼかしています。

契約条件(現状渡し・保証の範囲)

中古機では「現状渡し」「ノークレーム・ノーリターン」の条件が付く取引もあります。民法の原則を知った上で、書面で条件を確認してください(いずれもe-Gov法令検索)。

  • 第562条 … 引き渡された目的物が種類、品質または数量に関して契約の内容に適合しないときは、買主は修補や代替物の引渡し等の履行の追完を請求できる
  • 第566条 … 種類または品質に関する不適合について、買主が不適合を知った時から1年以内に通知しないと、追完請求、代金減額、損害賠償、解除ができなくなる(売主が引渡し時に不適合を知り、または重大な過失で知らなかったときを除く)。数量に関する不適合は、この条文の対象外です
  • 第572条 … 担保責任を負わない旨の特約をしても、売主が知りながら告げなかった事実については責任を免れない

適用は個別の契約内容によるため、迷う場合は専門家にご相談ください。実務では、保証と免責の範囲を書面で確認したうえで、端子での電圧・周波数の実測値、漏電遮断装置の動作確認の有無、測定を依頼した場合は絶縁抵抗の測定値を、記録として残してもらうのが現実的です。

運搬と、使う側に発生する手続き

価格に運賃が含まれるかは販売店により異なり、「渡し価格」として運賃別で表記している例もあります。発電機は小さく見えても重量があり、デンヨーDCA-25LSKEの整備質量は740kgです(デンヨー取扱説明書 主要諸元)。新品定価・新品実売・中古掲載・買取という「価格の段」の見方は、別記事「中古発電機の価格相場はどう見る?新品・中古・買取の「価格の段」で分かる13〜220kVAの掲載例と値段の差の理由」にまとめています。

もう一つ、法令上の手続きがあります。電気事業法施行規則第48条第2項第4号は、一般用電気工作物となる発電設備として「内燃力を原動力とする火力発電設備であって出力十キロワット未満のもの」を定めています(e-Gov法令検索)。出力10kW以上の可搬型ディーゼル発電機はこの範囲に入らないため、保安規程の届出や電気主任技術者の選任等の手続きが必要になります(経済産業省「建設現場等で使用する移動用電気工作物の手続きについて」)。これらの届出・申請は「移動用電気工作物を設置して使用する者」が行い、主任技術者を自社で選ばずに保安業務を外部に委託する場合(規則第52条第2項の承認)も同様です(経済産業省通達「移動用電気工作物の取扱いについて」令和5年3月20日改正)。借りても買っても、手続きをするのは使う側です。詳細は別記事「発電機は年何日置くと「買った方が得」?レンタルと中古購入の損益分岐を25kVAで試算」で解説しています。

なお、労働安全衛生規則第578条は、坑・タンク・船倉の内部など自然換気が不十分な場所で内燃機関を有する機械を使うことを禁じています(換気するときを除く/e-Gov法令検索)。設置場所の換気も購入前から想定してください。

自分で確認できることと、業者に任せること

買う側が自分でできること

  1. 年式・型式・アワーメーターの確認
  2. 排出ガス対策型/低騒音型の標識(ラベル)の確認
  3. 外観と防音材、ラジエータ、ベース内の目視
  4. 販売店の担当者に始動してもらい、離れた位置から排気の色と音を見る
  5. 取扱説明書・整備記録など書類の確認
  6. 契約条件(保証範囲・免責・運搬費)の確認

業者や有資格者に任せること

  1. 絶縁抵抗の測定(AVR等の配線の取り外しが必要な場合があります)
  2. 端子での電圧・周波数の実測
  3. 漏電保護装置の動作確認
  4. 接地工事(電気工事士の資格が必要です)
  5. エンジン内部の判断(金属音や白煙の原因特定)

販売店に聞くとよい9つの質問

  1. 端子で電圧と周波数を実測していますか。測定値を教えてください
  2. 絶縁抵抗を測っていますか。測っていなければ、測定を依頼できますか
  3. 漏電遮断装置は動作確認していますか
  4. 単相の端子と切替スイッチはありますか。切替動作は確認済みですか
  5. 始動から暖機まで運転して、排気の色と漏れを確認できますか(動画でも構いません)
  6. どこから入った機体ですか(レンタル会社の入れ替え機、ユーザーからの下取りなど)。入庫後に何を整備・交換しましたか。整備記録・取扱説明書は付きますか
  7. 排出ガス対策型/低騒音型の指定機ですか。標識はありますか
  8. 価格は渡し価格ですか。運搬はどうなりますか
  9. 保証はありますか。現状渡しの場合、どこまでが免責ですか

答えが返ってこない項目は、そのぶん自分で確認するか、購入後の整備費として価格に織り込んで考えてください。

よくある質問

Q1. アワーメーターが少なければ良い機体と考えてよいですか

表示だけでは判断できません。時間計は交換もあり得る計器なので、年式・整備記録・現車の使用感と合わせて見てください。

Q2. 外観がきれいなら、状態は良いと考えてよいですか

いいえ。販売前の洗浄・磨き上げは通常の工程なので、暖機後の漏れと端子での実測値で判断してください。

Q3. 絶縁抵抗は自分で測れますか

おすすめしません。測定電圧でAVRなどの部品を壊すおそれがあるため、販売店や整備業者に測定を依頼してください。

Q4. 始動時に白い煙が出ました。故障でしょうか

一瞬か、出続けるかで見方が変わります。私たちが見ているのも、始動直後の一瞬ではなく、暖機後も白煙を出し続けていないかです。クボタの農業機械FAQ(ディーゼルエンジン)は、白煙の発生はエンジンに重大なトラブルが起こっている可能性があるとしています。暖機後も続くなら、原因の特定を整備業者に依頼してください。

Q5.「現状渡し」なら、何かあっても一切請求できませんか

契約内容によります。民法第572条は、担保責任を負わない旨の特約をしても、売主が知りながら告げなかった事実については責任を免れないと定めています(e-Gov法令検索)。個別の判断は契約内容によるため、迷う場合は専門家にご相談ください。

まとめ|7つのポイントの判断基準

  1. アワーメーターと年式 … 表示と整備記録・現車が整合するか。次の整備時期を読む
  2. エンジンの状態 … 黒煙や暖機後も続く白煙、音のリズムの乱れ、金属音、暖機後の漏れがないか
  3. 発電性能 … 端子での実測値があるか。単相端子・切替動作・端子ネジ部・オプション装備
  4. 絶縁抵抗と漏電保護 … 必要に応じて測定を依頼し、値と測定条件を確認。漏電遮断装置の有無と動作確認
  5. 外観・防音ボディ・ラジエータ … きれいさではなく、防音材の欠落、ラジエータの凹みや目詰まり、錆、ベース内の油分
  6. その現場で使えるか … 型式・標識・国交省の指定型式一覧で排ガスと騒音の指定を確認
  7. 書類と取引条件 … 銘板、機体の入手経路と入庫後の整備内容、保証と免責、運搬費、使う側の手続き

判断の軸は一つです。外観ではなく、試運転と実測と書類で決めることです。

関連記事とご相談について

検討中の個体について「これで大丈夫か」を確認したい場合は、次の4点をお送りください。当社で一次所見をお返しします。

  1. 型式プレート(銘板)の写真
  2. 機体全景の写真
  3. アワーメーターの表示が読める写真
  4. 気になる箇所(端子盤、防音材、錆、漏れなど)の写真

始動から暖機までの動画もあれば、排気の色と音のリズムまで確認できます。所見は「買うべきか」の断定ではなく、分かる範囲の確認点と、販売店に追加で聞くべき項目の形でお返しします。

参考にした情報源

すべて2026年9月16〜17日閲覧。

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この記事を書いた人

とある建機販売会社に勤務。
整備や販売の現場に日々携わっています。
実際に機械を見て、触ってきた経験をもとに、購入、買換え、メンテナンスなど役立つ建機情報を分かりやすくお届けします。

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