この記事の対象者
電動高所作業車をこれから知る・導入を検討し始めた方。倉庫や物流、工場、商業施設、電気・設備工事などの現場担当者や経営者で、「種類が多くて違いが分からない」「うちの屋内現場にはどれが合う?」という段階の方に向けています。
高所作業車の種類は「動力・走行・昇降」の3つの装置の組み合わせで決まります。「電動」とはこのうち動力がバッテリー式ということ。排ガスゼロ・静音で屋内に強いのが最大の特徴です。まずは自分の現場が「屋内か屋外か」「作業床の高さは何mか」を押さえれば、選ぶべき種類はぐっと絞れます。このガイドで全体像をつかんでください。
まず結論:種類は「3つの装置」で決まる
電動高所作業車を調べ始めると、シザース、マスト、ブーム、自走式、トラック式…と用語が次々に出てきます。ここで迷子になる方がとても多いです。しかし整理の軸はシンプルです。
高所作業車の種類は、次の3つの装置の組み合わせで決まります。
- 動力装置:機械を動かすエネルギー源(エンジンか、バッテリー=電動か)
- 走行装置:現場での移動方法(トラックに載せるか、自走するか)
- 昇降装置:作業床(人が乗る床)をどう上げるか(真上か、腕を伸ばすか)
「電動高所作業車」とは、このうち①動力装置がバッテリー式のものを指します。つまり「電動」は種類の1要素であって、電動の中にもさらに走行・昇降の違いで多くのバリエーションがある、ということです。
販売店の立場で言うと、この3軸を分けて考えるだけで、問い合わせの精度は一気に上がります。「屋内で床を移動しながら10m弱まで上げたい」まで言えれば、候補の種類はほぼ1つに絞れるからです。逆に「電動が欲しい」だけでは、まだ何十機種もが候補に残ってしまいます。
① 動力装置:電動(バッテリー式)とは何か
まず1つ目の軸、動力装置です。ここが「電動かどうか」を決める部分です。動力には主に3タイプあります。
- エンジン式:ディーゼルなどのエンジンで動く。出力が大きく屋外向け。ただし排ガスと騒音が出る。
- バッテリー式(=電動):充電した電気で動く。排ガスなし・静音。屋内や低騒音が求められる現場で使える。使うには充電が必要。
- バイエナジー式:エンジンとバッテリーの両方を積んだハイブリッド型。屋内はバッテリー、屋外はエンジン、と切り替えて使える。
このメディアの主役である「電動高所作業車」は、原則としてバッテリー式(一部はバイエナジー式)を指します。屋内現場で排ガスを出せない、あるいは静かに作業したい、というニーズにこたえるのが電動の役割です。

② 走行装置:どうやって現場を移動するか
2つ目の軸は走行装置、つまり現場でどう動くかです。ここは大きく2種類に分かれます。
- トラック式(車両搭載型):トラックの荷台に昇降装置を架装したタイプ。公道を自走できるのが最大の強み。街灯・電柱のメンテや、移動が多い短期工事に向く。
- 自走式:昇降装置そのものにタイヤやキャタピラが付き、現場の中を自分で走る。公道は走れないため、現場までは別の車両で運ぶ必要がある。
自走式はさらに、足回りで2つに分かれます。
- ホイール式:タイヤで走る。舗装路や屋内向け。床を傷めにくいノーパンクタイヤを備えた機種もある。
- クローラ式:キャタピラで走る。不整地や傾斜地でも安定する。屋外の土の上などに強い。
電動高所作業車の中心は「自走式のホイール式」です。屋内の平らな床を、床を傷めずに移動しながら使う用途が多いためです。
なお、公道を走るかどうかは資格にも直結します。トラック式で公道を走るなら自動車運転免許が別途必要ですが、敷地内だけで使う自走式なら不要です。この点は資格記事で詳しく整理しています(後述の内部リンク参照)。
③ 昇降装置:作業床を「真上」か「腕を伸ばして」か
3つ目の軸は昇降装置です。作業床(人や工具を載せる床)をどう持ち上げるかで、大きく2系統に分かれます。ここが用途を最も左右する部分です。
垂直昇降型:作業床を真上に上げる
垂直昇降型は、作業床を真上に上昇させるタイプです。水平方向への移動はできず、真上の作業に特化します。屋内の天井・照明・配管など、真上の中高所作業の定番です。代表的に2つあります。
- シザース型(シザースリフト):ハサミ状のX字リンクが伸縮して上下する。作業床が広く、積載量も大きい。複数人や資材を載せた屋内作業の定番。
- マスト型(タワー型):支柱(マスト)を伸ばして上下する。細身でコンパクト。棚の間や狭い通路など、狭所に入り込める。
このほか、シグマ型といった派生もありますが、まずはシザースとマストの2つを押さえれば十分です。
ブーム型:腕を伸ばして高く・横へ届かせる
ブーム型は、腕(ブーム)を伸ばして高い所や横方向へ作業床を届かせるタイプです。障害物の上を越えて回り込める強みがあります。主に3タイプあります。
- 直伸ブーム型(伸縮ブーム型):まっすぐ伸びる。高さと遠くへの到達に強い。
- 屈折ブーム型(屈伸ブーム型):途中で折れ曲がり、障害物を越えて回り込める。
- 混合ブーム型:直伸と屈折を組み合わせたタイプ。
電動高所作業車の主力は、この中の「垂直昇降型(シザース/マスト)」です。ブーム型にもバッテリー式はありますが、屋内の真上作業ではまず垂直昇降型が候補になります。

なぜ屋内現場で「電動」が選ばれるのか
ここまでの3軸を踏まえると、電動高所作業車が屋内で選ばれる理由がはっきりします。理由は主に2つです。
- 排ガスゼロ:屋内・地下・食品/医療/商業施設など、排ガスを出せない閉鎖空間で使える。
- 静音:騒音を抑えたいエリア、夜間作業、営業中の店舗や施設内でも使いやすい。
代表的な用途・現場は次のようなものです。いずれも「屋内の中高所作業」が共通点です。
- 倉庫・物流センター:高い棚の整理、照明・防犯設備・スプリンクラーのメンテ
- 工場:天井の配管・空調・電気工事、生産ライン上部の保守
- 商業施設・駅舎・体育館:内装、照明の交換、天井サインの設置
- 看板・サインの設置、内装工事全般
買い手目線で一言添えると、屋内で排ガスNG・静音が条件なら、電動はほぼ一択になります。ここが決まれば、あとは「床の広さがいるか(シザース)」「狭所に入るか(マスト)」の判断に進めます。
電動ならではの注意点(充電・バッテリー)
一方で、電動には電動特有の注意点があります。導入前に必ず押さえてください。
- 充電が必要:使うたびに充電がいる。しかも稼働時間より充電時間のほうが長くなりがちで、連続稼働には計画が必要。
- 1回の充電での稼働時間に上限:フル充電でどれだけ動くかは機種で異なる。
- バッテリーの劣化・交換費用:バッテリーは数年単位で劣化し、いずれ交換が必要。交換は電動特有の大きめの費用になる。
とくに中古を選ぶ際は、バッテリーの状態が価格と価値を大きく左右します。この点は別記事「電動高所作業車のバッテリー交換|費用・交換タイミング・業者選びのポイント」で費用感まで詳しく解説しています(内部リンクは末尾参照)。
電動の主力は「自走式×垂直昇降型」
3軸を電動に当てはめると、屋内向けの主力構成が見えてきます。それが「動力=バッテリー式/走行=自走式(ホイール)/昇降=垂直昇降型(シザースまたはマスト)」という組み合わせです。
残る判断は、シザースとマストのどちらか。使い分けの目安はこうです。
- シザース型を選ぶ場面:作業床を広く使いたい/複数人や資材を一緒に載せたい/積載量を確保したい。広い屋内空間での定番。
- マスト型を選ぶ場面:棚の間や狭い通路に入りたい/細身・軽量で取り回しを優先したい。狭所作業に強い。
つまり「広さ・積載を取るか、細さ・狭所を取るか」で分かれます。現場の通路幅と、床に何を載せたいかをイメージすると選びやすくなります。機種ごとの細かな選び方は、別記事「失敗しない電動高所作業車の選び方|作業床高さ・可搬質量・現場環境で決まる5つの基準」で条件別に整理しています。

「作業床の高さ」は資格・点検の区分でもある
種類選びと切り離せないのが「作業床の高さ」です。ここは用途だけでなく、法律上の資格・点検の区分にも直結します。
電動のシザース/マストは、作業床の高さがおおむね数m〜10m前後の屋内向けが中心です。そして、この高さが次のように資格の分かれ目になります。
- 作業床の高さ 10m未満:高所作業車運転特別教育で運転できる機種が中心
- 作業床の高さ 10m以上:高所作業車運転技能講習が必要
つまり「10m未満か10m以上か」で、必要な資格も取得の手間も変わります。判定は「その機械が上げられる最大の作業床高さ」で行う点も要注意です。詳しくは資格記事にまとめています。
また、電動でもエンジン式でも、年次点検(特定自主検査)は法律上の義務です。動力ではなく作業床の高さで扱いが決まる点は資格と同じで、詳細は点検記事で解説しています。種類を選ぶ段階から、この2つはセットで押さえておくと導入後に慌てません。
代表的なメーカー
電動高所作業車を手がける代表的なメーカーを紹介します。順位やシェアを示すものではなく、あくまで「よく名前が挙がる代表的なメーカー」としてご覧ください。
- 国産:アイチコーポレーション(業界大手)、タダノ、長野工業(Nagano) など
- 海外:Genie(ジニー/Terex)、JLG、Haulotte(オールー)、Snorkel(スノーケル/国内はエイハン・ジャパン) など
なお「どこが1位」といったランキングは、あくまで各サイトの人気順であってシェア順ではありません。この記事では順位付けはせず、代表的なメーカーとして把握しておく程度で十分です。中古を選ぶ際は、メーカー名よりも「作業床の高さ・使う場所・バッテリーの状態」が実質的な決め手になります。
新車価格の目安(あくまで参考)
価格の肌感も軽く触れておきます。電動シザースリフトの新車価格は、おおむね250万〜460万円程度が一つの目安です(小型コンパクトで約290万円、長尺で約370万円という例があります)。
ただしこれはあくまで一例です。価格は地域・機種・時期・状態で変動します。実際の相場や、中古を含めた価格の考え方は、今後の価格・相場記事や中古の選び方記事であらためて詳しく扱います。まずは「電動シザースの新車はおおむね数百万円台」という目安で捉えておいてください。
よくある質問(FAQ)
Q. 屋内で使うなら電動一択ですか?
A. 排ガスを出せない、または静音が必要な屋内現場では、電動が事実上の第一候補になります。ただし屋内外を行き来する現場なら、エンジンとバッテリーを切り替えられるバイエナジー式という選択肢もあります。まずは「排ガスNGか」「騒音を抑えたいか」を確認すると判断しやすくなります。
Q. 電動は屋外でも使えますか?
A. 使えますが、注意が必要です。電動の主力であるホイール式は、舗装された屋外なら使えますが、土や不整地・傾斜地は苦手です(不整地には別途クローラ式が向きます)。また屋外で長時間・広範囲を使う場合は、充電の持ち(1充電の稼働時間)と充電環境の確保が課題になります。屋外が中心なら、出力の大きいエンジン式やバイエナジー式も比較対象に入れてください。
Q. 1回の充電でどれくらい持ちますか?
A. 稼働時間は機種によって異なり、一律には言えません。共通して言えるのは、稼働時間より充電時間のほうが長くなりがちで、連続作業には充電計画が要る、という点です。長時間の現場では、途中充電や予備を見込んで運用します。
Q. 中古の電動はバッテリーが心配です。大丈夫ですか?
A. 中古の電動で最も価格と価値を左右するのがバッテリーの状態です。劣化が進んでいれば稼働時間が短くなり、交換費用も発生します。だからこそ、中古はバッテリーの状態を確認したうえで選ぶのが鉄則です。確認ポイントや交換費用の実態は、別記事「電動高所作業車のバッテリー交換|費用・交換タイミング・業者選びのポイント」「中古の電動高所作業車を買う前に確認すべき7つのポイント|現場目線で解説」で解説しています。
Q. トラック式と自走式、どちらを選べばいいですか?
A. 「公道を移動して複数の現場を回るか」で分かれます。公道を自走して現場を転々とするならトラック式、決まった敷地や屋内で使うなら自走式が向きます。屋内中心の電動なら、多くは自走式(ホイール)が候補です。トラック式で公道を走る場合は自動車運転免許も必要になる点にご注意ください。
まとめ:自分の現場に当てはめる手順
種類が多く見える電動高所作業車も、次の順番で当てはめれば絞り込めます。
- 使う場所を決める:屋内か屋外か。屋内・排ガスNG・静音なら電動が第一候補
- 走行を決める:敷地内だけなら自走式、公道も走るならトラック式
- 昇降を決める:真上の作業なら垂直昇降型。広く使うならシザース、狭所ならマスト
- 作業床の高さを確認する:10m未満か10m以上かで、必要な資格が変わる
- 中古を検討するなら、バッテリーの状態を必ず確認する
この5ステップを押さえれば、「電動が欲しい」から「この種類のこの高さ」まで一気に具体化できます。
現場に合った種類と中古在庫のご相談
丸元産業は中古の建設機械・電動高所作業車を販売しています。「種類が多くて、うちの現場にどれが合うか分からない」という段階から、遠慮なくご相談ください。
使う場所(屋内か屋外か)と、作業床の高さ(何mまで上げたいか)を教えていただければ、適した種類を整理し、条件に合う中古の電動高所作業車の在庫をあわせてご案内します。基礎理解から機種選び、資格・点検の整理まで、まとめてサポートします。
あわせて、次の各記事もご活用ください(記事タイトルで示します)。
- 種類が決まったら:「失敗しない電動高所作業車の選び方|作業床高さ・可搬質量・現場環境で決まる5つの基準」
- 中古を検討するなら:「中古の電動高所作業車を買う前に確認すべき7つのポイント|現場目線で解説」「電動高所作業車のバッテリー交換|費用・交換タイミング・業者選びのポイント」
- 資格の確認:「電動高所作業車の運転に必要な資格とは?特別教育と技能講習の違いを徹底解説」
- 点検の確認:「電動高所作業車の年次点検・特定自主検査は義務?罰則と費用の目安」
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