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発電機の容量(kVA)の選び方|必要容量の計算と「始動電流」の落とし穴

「同じ機械を7台動かしたいのですが、何kW必要ですか」。発電機の容量について当社に寄せられる相談は、たいていこの形で来ます。ところが答えを出そうとすると、最初の段階で止まります。その機械1台が何kWを使うのかを、お客さま自身が把握していないことがほとんどだからです。

つまずきはもう一つあります。発電機の大きさは、kWではなく「kVA」で表示されます。聞かれ方は「何kW」、機械の表示は「kVA」。この二つは単位が違うので、そのままでは比べられません。

そして、たとえ消費電力が分かっても、それを足し算しただけでは容量は決まりません。水中ポンプやコンプレッサなどモーターを積んだ機器は、動き出す瞬間に定常運転時の6倍以上の電流が流れるとされています(デンヨー公式技術資料、太陽建機レンタル、CKレンタル)。この「始動電流」を計算に入れないと、書類上は足りているのに現場でポンプが起動しない、投光器がちらつく、発電機が過負荷で止まる、という事態になります。

この記事は、可搬型ディーゼル発電機(デンヨーDCA・AIRMAN(エアマン、旧 北越工業)SDGなど)を現場の常用電源として導入・買い替えする中小事業者、現場責任者、購買担当の方に向けたものです。機械のスペックの調べ方から、必要容量を出す5つのステップ、具体的な計算例、選定でつまずきやすい落とし穴までを整理します(キュービクルなど電気主任技術者が関わる固定設備は対象外)。数値は出典とセットで示し、記事末にURLをまとめています。

可搬型ディーゼル発電機(25kVAクラス)のイメージ図。前面の扉を開けると、上段に電圧計・周波数計・ブレーカなどの操作パネル、下段に三相の出力端子(U・V・W・O)と単相の端子・コンセントが並んでいる。
可搬型ディーゼル発電機(25kVAクラス)のイメージ図です。当社在庫の写真ではありません。扉・操作パネル・端子盤の配置は機種によって異なります。
目次

まず押さえる:kVAとkWは同じではない

最初のつまずきは単位です。発電機の大きさは「kVA(皮相電力)」、機器の消費電力は「kW(有効電力)」。単位が違うのでそのままでは比べられず、両者は「力率」でつながります。

  • 三相:定格電力(kW)= 定格出力(kVA)× 力率(おおむね0.8)
  • 単相:発電機の単相出力は力率1.0で定格が定められているため、発電機側は kW=kVA として扱います

デンヨーの技術資料では、エンジン発電機としての出力を設定する場合、単相発電機では力率1.0、三相交流発電機では力率0.8としていると説明されています。実機のDCA-25LSKBの仕様も三相0.8(遅れ)/単相1.0です(デンヨー公式)。100kVAの発電機なら、100×0.8=80kWが三相での目安になります。

ただし、単相の力率1.0は発電機の定格を決めるための値です。単相モーターなど機器側の力率は1.0ではありません。機器ごとの必要容量は、あとで示す倍率表で見積もってください。いずれにせよ「25kVAだから25kWの機器が動く」わけではなく、ここを取り違えると出発点から2割ずれます。

「合計消費電力で選ぶ」と足りなくなる理由

kVAとkWを換算できても、まだ足りません。理由が始動電流です。デンヨーの技術資料には「誘導電動機の始動時は定常時の6倍以上もの電流が流れ、大きな電力を必要とします」と明記されています。容量が足りないと、現場では次のようなことが起きるとされています(同資料)。

  • 発電機の電圧が急激に低下し、負荷が正常に動作しない
  • 他の負荷機械のマグネットスイッチやリレー類が動作不良を起こす
  • すでに動いている他の電動機負荷が減速する、または停止する
  • 照明灯がちらつく、水銀灯が消灯する

やっかいなのは、これらが「発電機の故障」に見えることです。実際には容量選定と始動のさせ方の問題であるケースが少なくありません。

負荷の種類別・必要容量の倍率(目安)

デンヨーの技術資料には、出力算定の目安として次の倍率が示されています。機器の定格出力(kW)にこの倍率をかけて、必要な発電機容量(kVA)を概算します。

  • 抵抗負荷(白熱灯、電熱器など):定常時 1倍/始動時 1倍
  • ハロゲン負荷(蛍光灯、水銀灯など):定常時 1.2〜1.8倍/始動時 2.1〜2.8倍
  • 整流子モータ(ドリル、サンダなど):定常時 1.3〜1.6倍/始動時 2.0〜3.0倍
  • 誘導電動機(水中ポンプ、コンプレッサなど):定常時 1.3〜2.0倍/始動時 3.0〜5.0倍

出典:デンヨー公式技術資料。太陽建機レンタル、CKレンタルも同じ値です(レントは誘導電動機の定常時を約1.25倍)。幅があるのは機器の効率・力率・始動方式で変わるためで、決め打ちせず幅で見るのが安全です。この幅だけで結論が1クラス変わることは、後の計算例で示します。

なお、モーターの銘板にあるkWは軸出力であって消費電力ではありません。デンヨーの技術資料でも、定常時の発電機出力は「モータの出力(kW) ÷(モータの効率 × モータの力率)」で計算するとされています。上の倍率は、その差を織り込んだ概算値です。

始動方式でも必要容量は変わる

同じモーターでも、始動のさせ方で必要容量が変わります。デンヨーの技術資料は、始動方式による係数Cを直入れ=1、スターデルタ(Y-Δ)=2/3としています。始動時の発電機出力はこのCに比例するため、Y-Δ始動なら直入始動の約3分の2で済む計算です。同資料は、モーター始動時の瞬時電圧降下についても「一般に瞬時電圧降下は25〜30%以内としています」と記しています。

逃げ道もあります。すべてを同時に立ち上げず順次投入する、ソフトスタータやインバータを使う。同時始動を避けるだけで、必要容量は下げられます。

ステップ0:まず、動かす機械のスペックを調べる

当社が容量の相談を受けたとき、最初にお願いしているのがこれです。発電機の話に入る前に、動かす機械が何kWなのかを確定させます。

調べ方は2つです。

  1. 機械に貼られているラベル(銘板)を見る。 出力kW、定格電流A、力率、電源の種別(三相200V/単相100Vなど)が書かれています
  2. メーカーのウェブサイトで型式を検索する。 銘板が汚れて読めない、剥がれている場合はこちらが確実です

ここが分からないまま「何kVAが要りますか」と聞いても、誰も答えられません。逆にこの数字さえ揃えば、あとは機械的に計算できます。以下のステップ1〜5は、この数字が手元にある前提で進みます。

必要容量を出す5つのステップ

  1. ステップ0で調べた機器を全部書き出します。型式・台数・定格出力(kW)または定格電流(A)を一覧にします
  2. 機器ごとに「定常時」と「始動時」の必要kVAを、前項の倍率表から出します
  3. 定常時は全機器を合計します。始動時は「始動時の必要kVAがいちばん大きい機器を最後に始動する」前提で、(他機器の定常時合計)+(その機器の始動時)を出します。kWの大きさではなく、始動時kVAの大きさで判断してください(このステップ3が、容量がぎりぎりのときに結果を分けます。次の項で詳しく説明します)
  4. 2と3で出た数値の大きい方を上回る発電機を選びます
  5. 余裕をどこまで見るかを判断します。ただし「大きければ安心」ではありません(落とし穴④で説明します)

ポイント:ステップ3の「最後に始動する1台」で結論が変わる

5つのステップのうち、実務でいちばん差が出るのがステップ3です。容量にゆとりがある現場では気にしなくても収まりますが、必要容量がぎりぎりのときは、ここの考え方ひとつで選ぶクラスが変わります。

押さえていただきたいのは次の3点です。

  1. 足すのは「全機器の始動時」ではありません。 全部を始動時の値で足すと、実際にはあり得ない過大な数字になり、必要のない大きなクラスを買うことになります
  2. 最後に始動する1台だけを「始動時」で見て、残りは「定常時」で足します。 その1台は定常時としては数えないので、二重に計上しないよう差し引きます
  3. その「1台」を選ぶ基準は、kWの大きさではなく始動時kVAの大きさです。 銘板のkWが大きい機器が、必ずしも始動時kVAが最大とは限りません

3点目は具体例で見るのが早いので、計算例1でそのまま扱います。水中ポンプ0.75kWと電動工具1.0kWでは、kWは電動工具のほうが大きいのに、始動時kVAはポンプ3.75kVAのほうが大きくなります。ここでkWを基準に選ぶと、必要容量を約0.85kVA小さく見積もることになります。

逆に言えば、始動の順番を決めるだけで必要容量は下げられます。 大きなモーターを同時に立ち上げず、1台ずつ順次投入する。それだけで、同じ機器構成でも1クラス小さい発電機で足りることがあります(計算例2で実際に示します)。

銘板に「A(アンペア)」しか書いていない場合

銘板に消費電力(kW)がなく、電流(A)しかないことがあります。その場合はおおよそ次のように換算できます。

  • 三相200V機器:kVA ≒ √3 × 200V × 電流A ÷ 1000
  • 単相100V機器:kVA ≒ 100V × 電流A ÷ 1000

検算すると、DCA-25LSKBの三相200V出力電流57.7A(デンヨー公式)は 1.732 × 200 × 57.7 ÷ 1000 = 約20.0kVAとなり、同機の50Hz時の三相定格出力20kVAと一致します。

ここで注意点があります。この式で出るのは、すでに kVA(皮相電力)です。ステップ2の倍率表は kW に掛けるためのものなので、ここで出した kVA にさらに倍率を掛けないでください。力率の補正を二重に数えることになり、必要容量が過大になります。銘板からAで拾った機器は、始動時のぶんだけを別に見込むか、銘板のkW値をあらためて確認してください。

三相誘導電動機の銘板の例。出力(kW)、電流(A)、力率、始動方式の4項目に番号を付け、出力は倍率表の元の数字、電流はkWの記載がないときの換算、力率はkWとkVAをつなぐ数字、始動方式で必要容量が変わることを示した図。
モーターの銘板の例です(イメージ図)。数字は伏せています。実物の書き方は機種によって異なります。

【計算例1】投光器+水中ポンプ+電動工具の小規模現場

まず小さい現場から。安全側で見るため、倍率は上限側を使います。使用機器は次のとおりです。

  • 水銀灯投光器 400W × 2台(合計0.8kW/ハロゲン負荷)
  • 水中ポンプ 0.75kW × 1台(誘導電動機・直入始動)
  • 電動工具 1.0kW × 1台(整流子モータ)

ステップ2:機器ごとに計算します。

  • 投光器:定常 0.8kW × 1.8 = 1.44kVA/始動 0.8kW × 2.8 = 2.24kVA
  • 水中ポンプ:定常 0.75kW × 2.0 = 1.50kVA/始動 0.75kW × 5.0 = 3.75kVA
  • 電動工具:定常 1.0kW × 1.6 = 1.60kVA/始動 1.0kW × 3.0 = 3.00kVA

ステップ3:最後に始動するのは、始動時の必要kVAが最大となる水中ポンプ(3.75kVA)です。電動工具は3.00kVAで2番目。kWで比べると電動工具1.0kWのほうが大きく見えますが、判断するのは始動時kVAです。

  • 定常時の合計:1.44 + 1.50 + 1.60 = 4.54kVA
  • 始動時:他機器の定常合計(1.44 + 1.60 = 3.04kVA)+ ポンプの始動 3.75kVA = 6.79kVA

ステップ4:大きい方は6.79kVAです。13kVAクラスが候補になります。デンヨーDCA-13LSKの三相定格は10.5kVA(50Hz)/13kVA(60Hz)なので、50Hz地域でも10.5kVAあり収まります。

ステップ5:負荷率は、定常時4.54kVAに対し60Hz地域の13kVAなら約35%、50Hz地域の10.5kVAなら約43%。いずれもやや低めなので、この構成だけで長時間回すなら後述の低負荷運転の注意点に当てはまります。

計算例1の横棒グラフ。定常時の合計4.54kVAと、最後にポンプを始動したときの6.79kVAが、デンヨーDCA-13LSKの三相定格(50Hz 10.5kVA、60Hz 13kVA)の破線より下に収まっている。
計算例1の結果。倍率は上限側で計算。破線はデンヨーDCA-13LSKの三相定格(50Hz 10.5kVA/60Hz 13kVA)。

動かしたい機械のラベル(銘板)の写真と、台数をお知らせください。 型式・kW・A・力率が写っていれば、上の計算はこちらで行います。銘板が読めない場合は型式だけでも構いません。メーカーサイトで調べます。

【計算例2】モーター機器を複数使う現場

次に、モーターを複数同時に回す現場です。倍率の幅が結果をどれだけ動かすかも合わせて見ます。

  • 水中ポンプ 3.7kW × 2台(誘導電動機・直入始動)
  • コンクリートバイブレータ 1.5kW × 2台(誘導電動機)
  • 水銀灯投光器 400W × 4台(合計1.6kW/ハロゲン負荷)
  • 電動工具 1.5kW × 1台(整流子モータ)

まず安全側(倍率の上限)で計算する

  • 水中ポンプ:3.7kW × 2台 = 7.4kW → 定常 7.4 × 2.0 = 14.80kVA
  • バイブレータ:1.5kW × 2台 = 3.0kW → 定常 3.0 × 2.0 = 6.00kVA
  • 投光器:1.6kW × 1.8 = 2.88kVA
  • 電動工具:1.5kW × 1.6 = 2.40kVA
  • 定常時の合計:14.80 + 6.00 + 2.88 + 2.40 = 26.08kVA
  • 最後に始動するのは始動時kVA最大の水中ポンプ1台(3.7 × 5.0 = 18.50kVA)。その1台分の定常(3.7 × 2.0 = 7.40kVA)を差し引く:26.08 - 7.40 = 18.68kVA
  • 始動時の必要容量:18.68 + 18.50 = 37.18kVA

大きい方は37.18kVAで、45kVAクラスが候補になります。

ただしここで言う「45kVAクラス」は60Hz時の定格です。デンヨーDCA-45系の三相定格は37kVA(50Hz)/45kVA(60Hz)と公表されており、50Hz地域では37kVAとなって、必要な37.18kVAをわずかに下回ります。50Hz地域でこの構成を組むなら、順次投入を前提にするか、ひとつ上のクラスを検討してください(落とし穴①参照)。

負荷率は、定常時26.08kVAに対し50Hz地域の37kVAなら約70.5%、60Hz地域の45kVAなら約58%。50Hz地域なら後述の適正運転範囲に収まり、60Hz地域では下限をわずかに下回ります。

水中ポンプ2台を同時に始動したらどうなるか

  • ポンプ以外の定常合計:6.00 + 2.88 + 2.40 = 11.28kVA
  • ポンプ2台の始動時:3.7kW × 2台 × 5.0 = 37.00kVA
  • 合計:11.28 + 37.00 = 48.28kVA

45kVAクラスでは、60Hz地域でも不足します。機器構成はまったく同じなのに、始動のさせ方だけで足りたり足りなかったりする。これが「順次投入」が現場で効く理由です。

倍率を下限側で取るとどうなるか

同じ構成を、倍率の下限側(誘導電動機は定常1.3倍・始動3.0倍、ハロゲン負荷1.2倍、整流子モータ1.3倍)で計算します。

  • 水中ポンプ:7.4 × 1.3 = 9.62kVA
  • バイブレータ:3.0 × 1.3 = 3.90kVA
  • 投光器:1.6 × 1.2 = 1.92kVA
  • 電動工具:1.5 × 1.3 = 1.95kVA
  • 定常時の合計:9.62 + 3.90 + 1.92 + 1.95 = 17.39kVA
  • 最後に始動するポンプ1台分の定常(3.7 × 1.3 = 4.81kVA)を差し引く:17.39 - 4.81 = 12.58kVA
  • そのポンプの始動時:3.7 × 3.0 = 11.10kVA
  • 始動時の必要容量:12.58 + 11.10 = 23.68kVA

結果は23.68kVAで、25kVAクラスに収まる計算です。ただしこれも60Hz時の話。25kVAクラス(デンヨーDCA-25系、AIRMAN SDG-25系)の50Hz定格は20kVAのため、50Hz地域ではこの構成は25kVAクラスに収まりません。

同じ機器リストなのに、倍率の取り方で25kVAと45kVAに分かれ、地域の周波数でも結論が変わりました。計算が間違っているのではなく、機器の効率・力率・始動方式が分からない段階では、それだけの幅が残るということです。どちらを選ぶかは、銘板の実値と始動方式、使用地域の周波数を確認して詰める必要があります。

この、どちらのクラスか迷った段階が、いちばん相談していただきたいタイミングです。動かしたい機械のラベル(銘板)の写真か型式と、台数、そして使用地域をお知らせいただければ、必要な発電機容量を算出してご案内します。

容量選びで陥りやすい5つの落とし穴

落とし穴① 型式の数字は60Hz時の定格

デンヨーDCAシリーズもAIRMAN SDGシリーズも、型式の数字は60Hz時の定格です。主要クラスの三相定格出力(50Hz/60Hz)は次のとおり公表されています。

  • DCA-13LSK:10.5/13kVA
  • DCA-25LSKB:20/25kVA
  • DCA-45LSK:37/45kVA
  • DCA-60系:50/60kVA
  • DCA-100系:80/100kVA
  • AIRMAN SDG25S:20/25kVA

出典はいずれも各社公式です。50Hz地域(東日本)で「DCA-25」を使う場合、取り出せる三相出力は20kVAが目安になります。ただし、すべてのメーカー・機種に当てはまるとは限りません。カタログの周波数別定格を必ず確認してください。

デンヨーDCA-25LSKBの定格出力の表(カタログの仕様表より)。三相は50Hzで20kVA、60Hzで25kVA。単相3線(100/200V級)は50Hzで11.5kVA、60Hzで14.4kVA。型式の「25」は60Hz時の出力で、東日本(50Hz)で三相に取り出せる目安は20kVA。
出典:デンヨー DCAシリーズ カタログ 2025.10版の仕様表(DCA-25LSKB)。

落とし穴② 三相発電機から単相を取ると、定格の全部は使えない

先に前提を明確にします。ここで説明するのは、三相4線式の出力から単相負荷を取り出すタイプの機械の話です。単相3線100/200V出力の定格をメーカーが別途公表している機種(デンヨーDCAシリーズなど)では、その公表値が優先します。

たとえばDCA-25LSKBは単相3線100/200V級で11.5kVA(50Hz)/14.4kVA(60Hz)と公表されており、三相定格の約6割にあたります。同じ関係は他クラスでも見られ、DCA-13LSKは単相6.1/7.5kVA、DCA-45LSKは単相21.4/26.0kVAが設定されています。

ただし、この2機種では単相3線出力はオプション扱いです。デンヨーのカタログでは括弧書き(例:DCA-45LSKの「(21.4/26.0kVA)」)で示され、「( )はオプションです」と注記されています。DCA-25LSKBのように3電源仕様が標準の機種と、3電源仕様や三相・単相切替仕様がオプション(機種によっては設定なし)の機種があるということです。中古機を検討する場合は、カタログ値だけで判断せず、現車の端子盤(単相の端子があるか)と出力電圧切替スイッチ(単相3線の位置があるか)で、単相出力の有無を必ず確認してください。デンヨーの銘板にあるのは型式・製造番号・乾燥(整備)質量で、出力の欄はありません。当社が実際に現車で見ている項目は、後の「中古の発電機で、当社が現車を見るときに確認していること」で具体的に挙げます。

そのうえで、三相4線式の出力から単相を取り出す場合の目安は次のとおりです(レント)。

  • 三相200V負荷:発電機の定格出力まで
  • 単相200V:1線間のみで取る場合は定格出力の1/2まで。2線間・3線間で使う場合は1線間あたり定格出力の1/3までで、3線間を均等に使ったときにはじめて定格出力まで使えます(2線間なら合計2/3までが目安)
  • 単相100V:1相間で取る場合は定格出力の1/3まで

デンヨーの技術資料も同じ関係を示しており、単相負荷のみを1線間から取る場合は発電機出力が負荷の2倍以上(PG≧2P1)、2線間・3線間に分ける場合は3倍(PG=3P1、P1は1線間あたりの単相負荷)必要としています。単相100VをO端子から取る場合についても「発電機定格出力の1/3を超えてはなりません」と明記されています。メーカーとレンタル各社で数値が一致している、信頼度の高い目安です。

偏った取り方が問題になる理由もはっきりしています。デンヨーの技術資料は、三相出力端子から単相を取り出す場合について「各線間の負荷容量をできるだけそろえるのが望ましく、やむなくばらつく時でも負荷容量の15%以内、電圧不平衡率を5%以内としてください」としています。偏らせると、電機子反作用と励磁装置の協調が崩れ、出力端子電圧のばらつき、界磁巻線の過熱、発電機本体の異常振動につながるためです。

なお、三相4線式から「単相100V」として取り出す電圧は、正確には100Vではありません。デンヨーの技術資料には、O端子を利用した各電圧は三相出力電圧の1/√3となり、三相200Vのときは115Vになると明記されています。レント・太陽建機レンタルも、線間200V/220Vのとき相間電圧は115V/127Vで商用電源より15V/27V高くなるとしています。100V定格の機器をつなぐ場合は、機器側の許容電圧範囲を必ず確認してください。

また、三相・単相とも200V負荷を接続しない場合は、発電機盤の電圧調整器で出力電圧を下げる方法があります。デンヨーの技術資料は、三相出力電圧を185Vに調整すれば 185 × 1/√3 = 107V になると示しています。

落とし穴③ 標準機の三相と単相は「切替」で、同時には使えない

まず押さえるべきは、標準機では三相と単相は切替であって同時には使えないことです。DCA-25LSKBの「3電源仕様」は、三相400V/三相200V/単相100・200V級をワンタッチで切り替える機能で、選べるのはそのうち一つです。三相20kVAと単相11.5kVAを足して使えるわけではありません。

三相と単相を同時に使いたい場合に用意されているのが、型式末尾に「-D」が付く「サイマルジェネレータ」仕様です。独立巻線で三相と単相を別回路にしており、切替なしで同時出力できます。単相定格も標準機より大きく設定されています(いずれもデンヨー公式、50Hz/60Hz)。

  • DCA-25LSKB(標準機・切替):三相20/25kVA または 単相3線 11.5/14.4kVA
  • DCA-25LSKB-D(サイマル機・同時):三相20/25kVA + 単相3線 15/19kVA
  • DCA-45系サイマル機(同時):三相37/45kVA + 単相3線 29/33kVA

仮設事務所の照明・エアコン(単相)と水中ポンプ・コンプレッサ(三相)を同時に回す現場では、この違いがそのまま「使える/使えない」の差になります。型式は末尾まで確認してください。なおサイマル機でも、三相と単相の合算がエンジンの定格内に収まっているかは確認が必要です。

落とし穴④ 大は小を兼ねない(低負荷運転の弊害)

「余裕を見て2ランク上」は、ディーゼル発電機では正解になりません。デンヨーの技術資料も、大きすぎる出力を選定するとイニシャルコスト・ランニングコストが高くなり不経済になると指摘しています。

コストだけの問題でもありません。ディーゼルエンジンは軽負荷が苦手とされ、無負荷から負荷率30%以下の運転が続くと不完全燃焼を起こし、未燃燃料や湿ったカーボンが排気系に溜まる「ウェットスタッキング」と呼ばれる状態になることがあります。総務省消防庁の資料も、負荷運転の効果として「排出系統内の未燃燃料を除去することができる」としており、裏を返せば低負荷運転では未燃燃料が排気系に残るということです。放置すると出力低下や損傷、排気系での発火につながるとされています。DPF(排ガス後処理装置)付きの機械では、低負荷が続くと強制再生が入る、再生が正常に進まないといった問題も出ます。

目安として、総務省消防庁の自家発電設備の点検要領(平成14年6月11日 消防予第172号)でも、負荷運転点検は「定格回転速度及び定格出力の30%以上の負荷」で行うこととされています。低い負荷での運転は、それだけ機械にとって通常の状態ではないということです。

適正な運転範囲は、一般に定格負荷の概ね60〜75%程度とされています(整備・負荷試験関連の資料に基づく目安で、機種により条件は異なります)。実務上は常用時の負荷率がおおむね5〜7割に収まるクラスを狙えば大きく外しません。運用時はメーカー取扱説明書の指示を優先してください。つまり「余裕を見る=2ランク上げる」ではなく、始動時のピークをまかなえる最小限に少しの余裕を足したクラスが目安です。

落とし穴⑤ ケーブルの電圧降下とアース端子

発電機の容量が足りていても、延長ケーブルが細い・長いと末端で電圧が下がり、モーターが起動しないことがあります。電圧降下は5%以内に収まるようケーブルの太さと長さを選ぶこととされています(太陽建機レンタル)。容量計算をやり直す前に、まずケーブルを疑う価値があります。

アース端子の取り違えは事故に直結します。太陽建機レンタルの資料では「O端子はアースではありません。O端子にアース線を接続すると発電機または負荷側モーターの焼損事故を引き起こします」と明記されています。O端子は三相4線式発電機の中性点であって、アースではありません。アースは中性点アース端子(E)から取ります。

接地抵抗値について、同資料では「500Ω以下」とされています。ただしこれは無条件の数値ではありません。電気設備の技術基準の解釈 第17条では、D種接地工事(旧・第三種接地工事)の接地抵抗値は原則100Ω以下で、地絡を生じた場合に0.5秒以内に自動的に電路を遮断する装置を施設する場合にかぎり500Ω以下に緩和されます。発電機に漏電遮断装置が備わり、それが働くように接地されていることが前提の数値です。

デンヨーの技術資料も「漏電保護回路を動作させるためにはモータ、発電機外箱接地端子及び機能接地端子を、電気工事士により、接地しなければなりません(電気工事士法)」としています。アース工事には電気工事士の資格が必要です。設置は必ず有資格者、またはメーカー・販売店に確認してください。

出力端子盤のイメージ図。U・V・Wが三相の出力端子。O端子は中性点でアースではなく、アース線は接地記号の中性点アース端子(E)から取る。O端子にアース線をつなぐと、発電機や負荷側モーターの焼損事故のおそれがある。
出力端子盤のイメージ図です。端子の並びや記号は機種によって異なります。O端子にアース線をつなぐ危険は、太陽建機レンタルの資料によります。

中古の発電機で、当社が現車を見るときに確認していること

中古の発電機は、カタログの数字どおりとは限りません。当社が仕入れの際に現車で確認しているのは、次の点です。

  • 三相と単相、両方の出力端子が付いているか。 落とし穴②のとおり、単相3線出力がオプションの機種では付いていない個体があります
  • 切替スイッチが付いているか。そして実際に切替動作ができるか。 付いているだけでは不十分で、動かして確かめます
  • 端子のネジ部が破損していないか。 締め付けと取り外しを繰り返す箇所なので、傷んでいる個体があります
  • 分電盤が内蔵されているかなど、オプションの装備。 同じ型式でも仕様が分かれます
  • 計測器を実際に端子に当てて、規定の電圧が出ているか、規定の周波数(Hz)が出ているかを測る。 パネルの電圧計・周波数計の表示だけでは判断しません。メーター自体が狂っていることがあるためです

最後の1点が、中古機ではとくに重要です。カタログ値も、パネルの表示も、実際に端子から出ている電気とは別の話です。「25kVAと書いてあるから25kVA出る」ではなく、測って確かめた個体かどうか。 中古機を検討するときは、販売店にこの確認をしているかどうかを聞いてみてください。

パネルの電圧計の表示と、出力端子にテスターを当てた実測値(200.8V)を見比べるイメージ図。メーター自体が狂っていることがあるため、端子で測って確かめた個体かを販売店に聞く。
イメージ図です(当社在庫の写真ではありません)。テスターとメーターの数値は例です。

容量以前の大前提:排気ガスがこもる場所では使わない

エンジン発電機の排気ガスには一酸化炭素が含まれます。労働安全衛生規則第578条は「事業者は、坑、井筒、潜函、タンク又は船倉の内部その他の場所で、自然換気が不十分なところにおいては、内燃機関を有する機械を使用してはならない」と定めています(当該場所を換気する場合を除く)。室内、車内、倉庫、トンネル、マンホールなど排気がこもる場所での使用は避け、トンネルなど密閉度の高い現場では必ず換気設備とセットで計画してください。排気口を建物や設備に向けないことも、デンヨーの取扱説明書(3kW以下の発電機)で警告されています。

また、発電機の出力を電力会社の配線に接続してはいけません(逆送電)。作業者だけでなく、停電復旧にあたる電力会社の作業員を感電させるおそれがあります。商用電源と併用する場合は、必ず電気工事士による切替装置の施工が必要です。

溶接機を使う場合は、倍率計算になじまない

溶接機は機種の性能によって必要容量が大幅に変わるため、倍率計算では概算しきれません。CKレンタルは機種ごとに「溶接機180A〜500Aを何台使えるか」を50Hz/60Hz別に一覧化しており、アクティオも機種別の選定表(ウェブ版・PDF版)を公開しています。溶接機、バイブロハンマー、高圧洗浄機など突入電流の大きい機器を使う場合は、溶接機の定格入力(kVA)と使用率を確認したうえで、メーカーまたは販売店に確認するのが確実です。

よくある質問

Q1. 同じ機械を7台動かしたいのですが、何kVAの発電機が要りますか

この形の質問がいちばん多く届きます。ただ、このままでは計算できません。必要なのは次の3点です。

  1. その機械1台が何kWか(ステップ0の銘板またはメーカーサイトで確認します)
  2. モーターを積んだ機械かどうか(誘導電動機なら始動時に3〜5倍を見込みます)
  3. 7台を同時に始動するのか、順番に立ち上げられるのか(ここで必要容量が大きく変わります)

この3点が揃えば、あとは本記事のステップ1〜5でそのまま計算できます。

Q2. 25kVAと45kVA、迷ったらどちらを選ぶべきですか

分かれ目は「同時に始動するモーターが何台あるか」「始動時kVAが最大の機器は何か」、そして「使用地域が50Hzか60Hzか」の3点です。これらが分かれば絞り込めます。

Q3. 単相の機器しか使いません。三相の発電機でよいですか

まず、その機種に単相3線出力の定格が公表されているかを確認してください。デンヨーDCAシリーズやAIRMAN SDGシリーズには単相定格が別途あり、DCA-25LSKBなら単相3線100/200V級で11.5kVA(50Hz)/14.4kVA(60Hz)。三相定格の約6割にあたるため、「三相の1/3しか使えない」わけではありません。ただし標準機では三相と単相は切替で、同時には使えません(落とし穴③参照)。単相定格の公表がない機械で三相4線式から取り出す場合は落とし穴②の制限が目安で、その場合の電圧は100Vではなく115V/127Vになる点にもご注意ください。

まとめ

  1. 出発点は発電機ではなく、動かす機械です。銘板かメーカーサイトで、1台あたり何kWかを先に確定させます(ステップ0)
  2. kVAとkWは別の単位。三相は力率0.8が目安で、25kVA=25kWではありません
  3. 合計消費電力では足りません。誘導電動機は始動時に定常時の6倍以上の電流が流れるとされています
  4. 「他機器の定常合計+始動時kVAが最大の機器の始動時」と「全機器の定常合計」の大きい方を上回るクラスを選びます。判断はkWではなく始動時kVAです
  5. 同時始動を避けて順次投入するだけで必要容量は下げられます。逆に、大きすぎる容量は低負荷運転の問題を招きます(常用時の負荷率5〜7割が目安)
  6. 主要な可搬型ディーゼル発電機では、型式の数字は60Hz時の定格です。50Hz地域では出力が下がります
  7. 三相4線式から単相を取る場合、定格の全部は使えません。単相3線定格が公表されている機種はその値が優先しますが、標準機では三相と単相は切替で、同時には使えません
  8. 中古機はカタログどおりとは限りません。端子の有無、切替動作、そして計測器での電圧・周波数の実測まで確認された個体かどうかを見ます
  9. 溶接機など突入の大きい機器は、倍率計算では足りない場合があります
  10. 容量以前に、排気ガスがこもる場所での使用と、商用電源への逆接続は禁止です

本記事の倍率・計算はすべて概算の目安です。実際の選定は、機器の銘板値(定格出力kW・電流A・力率)と取扱説明書、始動方式、使用地域の周波数によって変わります。最終判断は機器リストを提示したうえで販売店・メーカーに確認してください。

動かしたい機械のラベル(銘板)の写真、またはメーカーサイトの仕様ページと、台数をお知らせください。 銘板が読めない場合は型式だけでも構いません。こちらで調べます。あわせて「同時に始動するか」「使用地域が50Hzか60Hzか」を教えていただければ、定常時と始動時の両方から必要容量を算出し、在庫の中から条件に合うクラスをご提案します。

参考にした情報源

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この記事を書いた人

とある建機販売会社に勤務。
整備や販売の現場に日々携わっています。
実際に機械を見て、触ってきた経験をもとに、購入、買換え、メンテナンスなど役立つ建機情報を分かりやすくお届けします。

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