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電動 vs エンジン式 高所作業車|結局どっちを買うべき?コスト・用途で徹底比較

電動式とエンジン式の高所作業車を並べた比較イメージ

電動式とエンジン式のどちらを買うべきかは、「主にどこで使うか」でほぼ決まります。屋内・倉庫・工場・商業施設が中心なら電動式、屋外の不整地や長時間の連続作業が中心ならエンジン式が向いています。排ガスと騒音が出るエンジン式は屋内では使いにくく、一方で電動式は1回の充電で動ける時間に限りがあるためです。ただし、価格やメンテナンス費、バッテリー交換まで含めた総額で見ると判断は単純ではありません。この記事では、現場で点検・販売・修理をしてきた経験をもとに、用途・法規制・コストの3つの軸で違いを具体的に解説します。

この記事で分かること

  • 電動式とエンジン式の動力・仕組みの違い
  • 屋内・屋外など現場別に、どちらが向いているか
  • 屋内でエンジン式が使いにくい理由(排ガス・騒音・法規制)
  • 本体価格・燃料/電気代・メンテ・バッテリー交換を含めたコスト比較
  • 「迷ったときにどちらを選ぶか」の判断基準

この記事の対象者

倉庫や工場の設備点検、塗装、清掃、造園、看板・電気工事など、高所作業のために高所作業車を1台導入しようとしている事業者・現場責任者を対象にしています。建機の専門家ではないが、電動かエンジン式かで失敗せずに選びたい方に向けた内容です。すでに機種を決めていて中古の状態の見極め方を知りたい方は、別記事の方が役立つ場合があります。

目次

まず結論|どこで使用するかで決まる

電動式とエンジン式の高所作業車が向く現場の比較。屋内中心なら電動式、屋外の不整地・長時間ならエンジン式

迷ったときの判断基準はシンプルです。次のどちらに近いかで考えてください。

  • 屋内・倉庫・工場・店舗が中心、排ガスや騒音を出せない → 電動式
  • 屋外の砂利道・傾斜地・造成地が中心、1日中連続で使う → エンジン式

両方の現場が混在する場合は、エンジンとバッテリーを切り替えて使える「バイエナジー式(後述)」という選択肢もあります。ただし機種が限られ、価格も上がるため、まずは「主にどこで使うか」を1つに絞って考えるのが失敗しないコツです。

電動式とエンジン式は何が違うのか|動力の仕組み

電動式・エンジン式・バイエナジー式の動力の仕組みの違いを比較した図

両者の最大の違いは、機械を動かす動力源です。走行も、作業台(作業床)の昇降も、この動力でまかないます。

電動式=バッテリー駆動

電動式は、搭載したバッテリーの電力でモーターを回し、走行と昇降を行います。使われるのは「ディープサイクルバッテリー」という、繰り返しの充放電に耐える専用バッテリーです。コンセントから充電して使うため、排ガスが出ず、動作音も静かなのが特徴です。シザース(垂直昇降)型や垂直マスト型など、屋内向けの小型機に多く採用されています。

エンジン式=ディーゼルなどの内燃機関

エンジン式は、ディーゼルエンジンなどの内燃機関で走行し、その動力で油圧ポンプを回して作業台を昇降させます。燃料を補給すれば連続して稼働でき、出力にも余裕があります。そのため、ブーム(直伸・屈伸)型のような高く遠くまで届く大型機や、不整地を走るラフテレーン型に多く採用されています。一方で、排ガスと騒音が出るため、使える場所は屋外が中心になります。

両方使える「バイエナジー式(ハイブリッド)」もある

近年は、エンジンとバッテリーの両方を搭載した「バイエナジー式」も増えています。屋外ではエンジン、屋内ではバッテリーと切り替えられるため、現場が混在する事業者に向いています。ただし機種が限られ、本体価格も上がる傾向があるため、用途がはっきりしている場合は単一動力の方が割安です。

用途・現場で選ぶ|どちらが向いているか

現場・条件別に電動式とエンジン式の向き不向きを比較した表

ここからは具体的な現場ごとに、どちらが向いているかを見ていきます。

屋内・倉庫・工場・商業施設が中心なら電動式

屋内では、排ガスを出すエンジン式は基本的に使えません。換気の悪い空間でディーゼルエンジンを動かすと、排ガスがこもって危険なためです。また、店舗や倉庫では作業音も問題になります。電動式なら排ガスがなく静かなので、営業中の店舗や、人がいる倉庫内でも使いやすくなります。床にタイヤ痕を残さない「ノンマーキングタイヤ」を選べば、きれいな床の屋内でも安心して使えます。

屋外の不整地・長時間作業が中心ならエンジン式

屋外の砂利道や造成地、傾斜のある現場では、出力に余裕があり走破性の高いエンジン式が向いています。また、1日中連続で作業する現場では、充電の必要がなく燃料補給だけで動き続けられるエンジン式が有利です。電動式は1回の充電で動ける時間に限りがあり、長時間の連続作業では途中で充電が必要になる場合があります。

現場別の向き不向きを表にまとめます。

現場・条件電動式エンジン式
屋内・倉庫・工場・店舗◎ 排ガスなし・静か× 排ガス・騒音で不向き
屋外の舗装路・平地○ 使える○ 使える
屋外の不整地・砂利・傾斜△ 機種による◎ 走破性が高い
長時間の連続作業△ 充電が必要◎ 燃料補給で連続可
夜間・住宅街など静音が必要◎ 静か△ 騒音に配慮が必要
充電設備がない現場× 充電できない◎ 燃料があれば動く

◎=特に向く、○=使える、△=条件次第、×=不向き、という目安です。

法規制で選ぶ|屋内でエンジン式は使えるのか

屋内でエンジン式高所作業車が使えない2つの理由。オフロード法の排ガス規制と屋内の排ガス滞留

「屋外用のエンジン式を屋内でも使いたい」という相談をよく受けますが、ここには注意が必要です。

排ガス規制(オフロード法)の対象になる

ディーゼルエンジンを積んだ高所作業車は、「特定特殊自動車排出ガスの規制等に関する法律(オフロード法)」の対象になります。オフロード法とは、公道を走らない特殊自動車の排ガスを規制する法律です(2006年施行、定格出力19kW以上などが対象)。メーカーは基準に適合した機械を販売する義務があり、使用者は燃料に必ず軽油を使うなど、適正に使用する義務があります。中古でエンジン式を買う場合は、規制適合機かどうかも確認しておくと安心です。

屋内ではそもそも排ガスを出せない

法規制以前に、屋内でディーゼルエンジンを動かすと排ガスがこもり、一酸化炭素中毒などの危険があります。そのため、屋内作業ではエンジン式は基本的に選択肢に入りません。屋内中心なら電動式が前提になります。

コストで選ぶ|本体価格・燃料/電気・メンテ・バッテリー

電動式とエンジン式の本体価格・動かす費用・メンテナンス費用の比較表

動力源が違えば、かかるお金の中身も変わります。本体価格だけでなく、買った後にかかる費用まで含めて比較します。

本体価格

同じくらいの作業高さなら、屋内向けの電動シザース型は、屋外向けのエンジン式ブーム型に比べて本体価格が抑えめな傾向があります。これは、ブーム型が高く遠くまで届く分、構造が複雑で大型になるためです。ただし、価格は作業床高さ・積載・年式・状態で大きく変わるため、最終的には同じ条件の機種同士で見積もりを比べてください。

ランニングコスト(燃料代 vs 電気代)

動かすためのコストは、電動式の方が安く済む傾向があります。充電にかかる電気代は、エンジン式の燃料代よりも安く収まるという試算もあります(条件により変動)。また、高所作業車は作業時間のうち、止まって作業している時間が7〜9割を占めるという調査もあります。エンジン式は止まっている間もアイドリングで燃料を使いますが、電動式はその間の燃料を消費しません。この差が、稼働コストの違いとして効いてきます。

メンテナンスコスト

メンテナンスは、部品点数の少ない電動式の方が手間と費用が少なめです。エンジン式はエンジンオイル・オイルフィルター・燃料フィルターなどの定期交換が必要で、その分の費用がかかります。電動式はこうしたエンジン関連の交換がない分、日常のメンテは軽くなります。

電動式特有の出費|バッテリー交換

電動高所作業車のバッテリー交換費用。1本2万〜2万7千円、2〜4本で全交換4万〜10万円

電動式で見落とせないのが、バッテリー交換の費用です。バッテリーは消耗品で、使ううちに性能が落ちていきます。よく使われる型番はEB100で、本体価格は1本あたり2万〜2万7千円が相場です(本体のみ)。機種により2〜4本を使うため、全交換すると4万〜10万円程度かかります。つまり電動式は「ランニングコストは安いが、数年に一度まとまったバッテリー出費がある」と考えてください。それでも、エンジン式の燃料・エンジン整備の積み重ねと比べると、総額で電動式が不利になるとは限りません。

コストの違いをまとめます。

コスト項目電動式エンジン式
本体価格(同クラス目安)抑えめな傾向高めな傾向
動かす費用電気代(安め)軽油代(高め・アイドリング分も)
定期メンテ少ないエンジンオイル・各フィルター交換あり
まとまった出費バッテリー交換(4〜10万円目安)エンジン関連の整備・修理
向く使い方屋内・短〜中時間・静音屋外・長時間・不整地

金額は機種・年式・使用状況で変わるため、目安としてご覧ください。

タイプとの関係|電動はシザース中心、エンジンはブーム中心

電動式に多いシザース型・垂直マスト型と、エンジン式に多いブーム型・ラフテレーン型の比較

動力源は、機械のタイプ(形)とも結びついています。選ぶときの参考にしてください。

  • 電動式に多い:シザース(垂直昇降)型、垂直マスト型。作業床高さは4m前後〜10m前後が中心で、屋内・平地向き。
  • エンジン式に多い:ブーム(直伸・屈伸)型、ラフテレーン型。作業床高さ10m超〜30m級まであり、屋外・高所向き。

「屋内で10m以下なら電動シザース」「屋外で高く遠くまで届かせたいならエンジン式ブーム」と覚えておくと、最初の絞り込みが速くなります。

よくある間違い・注意点

電動式とエンジン式の選定でよくある4つの間違いと注意点

①屋外用のエンジン式を屋内でも使おうとする

最も多い失敗です。排ガスと騒音の問題で、屋内ではエンジン式は使えません。屋内で使う可能性があるなら、最初から電動式を選んでください。

②電動式の連続稼働時間を考えずに買う

電動式は充電が必要です。1日中ぶっ通しで使う現場では、稼働時間と充電時間を確認しないと、作業の途中で止まることがあります。

③本体価格だけで比べてしまう

安く買えても、燃料代やバッテリー交換まで含めると総額は変わります。買った後にかかる費用まで含めて比較してください。

④中古のエンジン式で排ガス規制を確認しない

中古のエンジン式は、オフロード法の規制区分や適合状況を確認しておくと安心です。現場や元請けの条件で使えない場合があります。

よくある質問

Q:結局、電動とエンジンどちらが安いですか?

動かす費用とメンテは電動が安めですが、数年に一度バッテリー交換の出費があります。屋内中心で稼働時間が長すぎなければ、総額で電動が有利になりやすいです。

Q:電動式は1回の充電でどれくらい使えますか?

機種と作業内容で変わります。止まって作業する時間が多い現場では長く持ちますが、走行や昇降を頻繁にすると短くなります。購入前に想定作業での持ち時間を確認してください。

Q:屋外でも電動式は使えますか?

舗装された平地なら使えます。ただし砂利道や傾斜地など不整地が多い現場では、走破性のあるエンジン式やクローラー式の方が向いています。

Q:屋内と屋外、両方で使いたい場合は?

エンジンとバッテリーを切り替えられるバイエナジー式という選択肢があります。ただし機種が限られ価格も上がるため、主に使う場所を基準に選ぶのが基本です。

まとめ|電動かエンジンかの判断早見表

電動式とエンジン式のどちらを選ぶかの判断早見表。現場・作業時間・静音・タイプ・コストの5軸

電動かエンジンかは、「主にどこで使うか」を決めれば自然と絞れます。屋内中心なら電動、屋外の不整地・長時間ならエンジン式、両方なら状態の良い中古でコストを抑えるか、バイエナジー式を検討する、という流れで考えてください。どちらのタイプでも、中古で買う場合は実機の状態確認が欠かせません。

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この記事を書いた人

とある建機販売会社に勤務。
整備や販売の現場に日々携わっています。
実際に機械を見て、触ってきた経験をもとに、購入、買換え、メンテナンスなど役立つ建機情報を分かりやすくお届けします。

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